明確なビジョンと目標を掲げ、不確実な時代をリードせよ

2019年6月10日(月)-12日(水)の3日間、東京コンファレンスセンター・品川にて、『ガートナー データ&アナリティクス サミット』が開催された。テーマは「不確実な時代だからこそ、明確な目標を掲げてリードせよ」である。
今、フェイク・ニュースがあふれ、不確実な状況のなかでリスクや不信感が高まっている。
データとアナリティクスのリーダーは、ビジネスに貢献するデータ活用について、明確な目的と目標を掲げる必要がある。

データとアナリティクスを使いこなしているかどうかは、ビジネス目標の達成や効率化、変革の実現や企業の競争力さえも左右する。だからこそ、最高データ責任者(CDO)に代表されるリーダーが戦略的な役割を果し、データとアナリティクスを使いこなせる組織と文化を築かなければならない。
データとアナリティクスの活用レベルを引き上げ、デジタル経済における競争に勝利するための戦略や方式を提言した、3つの講演を紹介する。

ビジョンを考え、ストーリーを伝えよう

「目標やビジョンは人に伝えないと単なるアイデアにすぎない。ビジョンを考えてストーリーとして伝えていくべきだ──」
オープニング基調講演「不確実な時代だからこそ、明確な目標を掲げてリードせよ」に登壇したのは、バイス プレジデント, アナリストの藤原 恒夫、マネージング バイス プレジデントの堀内 秀明、シニア プリンシパル, アナリストの一志 達也の3名。

ガートナー データ & アナリティクス サミット 2019

藤原 恒夫
バイス プレジデント, アナリスト

ガートナー データ & アナリティクス サミット 2019

堀内 秀明
マネージング バイス プレジデント

ガートナー データ & アナリティクス サミット 2019

一志 達也
シニア プリンシパル, アナリスト

まず一志が冒頭に登場し、データ分析には不確実が伴ってしまうため、チームが一丸となってデータ活用を考えてビジョンを共有すべきだとし、そのポイントは、「先にあるのが原則で、ルールはあとからついてくる」ことだと述べ、そのスローガンを掲げることで、わかりやすく伝えることができるとした。そして講演は、3名のアナリストが交代で解説する形で進行した。

データトリブンについて語ったのは堀内。意味のある評価指標をつくるには試行錯誤が欠かせないとし、試行錯誤のマインドセットを持ち、常に評価指標を点検し、問題点があればすぐに新しい評価指標をつくっていくことによって、データ分析の不確実性から逃れられる可能性が高いと述べた。
また、データトリブンには罠があると言及。1つは「意図しない結果」で、燃費節約を目指した結果、空調を切るなどして顧客満足度を下げた航空会社の例を紹介。もう1つは努力不足で、既存のデータに頼りすぎてデータの確認に終始してしまう危険があるため、新たな先行指標をつくるべきだと力説した。

プライバシーについて述べたのは藤原。顧客のデータを守り、正しく利用するようガイドすることこそ肝要だと語り、透明性によって顧客からの信頼を獲得し、顧客が望んでいる形でデータを活用する誠実さが欠かせないと指摘した。
最後に一志が再登場し、AIの原則ついて述べた。AIは、現在行われている手作業を自動化すること、さらに創意工夫の推進に使うべきだとし、AIは決して人間に置き換わるものではなく、人間を補完するものだとし、置き換えよりも拡張や補強に着目しようと呼びかけた。

成果を考え、そこから逆算して組織をつくれ

ガートナー データ & アナリティクス サミット 2019

アンドリュー・ホワイト
ディスティングイッシュト バイス プレジデント, アナリスト

今、多くの組織では、「データとアナリティクスのチーム」が注目を集め、高品質な成果を迅速かつ効率的に生み出しているが、データ主導型組織について語ったのが、ディスティングイッシュト バイス プレジデント, アナリストのアンドリュー・ホワイトのセッションだ。テーマは、「データ主導型の組織:高いパフォーマンスを発揮するデータとアナリティクスのチームを創設し、リードするには」である。

ホワイトはまず、データとアナリティクスに必要なスキルについて言及。職務の遂行とビジネス価値のデリバリに必要なケイパビリティとキャパシティに基づいて、まず成果を考え、そこから逆算して役割と職務の両方を対応づける「リソース・プランニング」を実施すべきだと力説した。
さらに、「市民」の役割とさらなるセルフサービス機能を実装し、サードパーティと連携して、知識移転の期待を明確に盛り込んで、外部サービスを契約すべきだとし、2020年までに、データ・サイエンス・タスクの40%以上が自動化され、結果として、市民データ・サイエンティストによる生産性向上と幅広い活用が実現するという、ガートナーの予測を発表した。

次に、成功する組織づくりについて述べ、ベストなのはハイブリッド型モデルで、ニーズと目的に基づくタスクとリソース・プランニングではなく、成果に重点を置く多機能チームのスクワッドとトライブを形成するべきだと説いた。
最後に、潜在的な落とし穴を回避する方法について述べ、データとアナリティクスがビジネスにもたらす価値が明らかでないことがあるとし、文化的な変革を阻む壁を克服する方法として、勇気を出して周知する、率直に文化的な問題を指摘して解決案を出す、文化的な変革を継続的プログラムとして管理する、などを提案した。

誰に向けたBI環境の改善なのかを見極めよ

ガートナー データ & アナリティクス サミット 2019

堀内 秀明
マネージング バイス プレジデント

「ビジネス導入時に注目してしまうのは、テクノロジや環境だが、本当に注目すべきは利用者だ──」
3日目に、「BI環境の改善を、今どう進めればよいか」をテーマに登壇したのは、オープニング基調にも講演した堀内だ。
堀内は、まずBI市場のトレンドの変遷を解説。ITによる一元管理の「第1世代」、ユーザー部門が主導して分析を行う「第2世代」、そして、ITでもユーザーもなく機械が頑張る「第3世代」があり、今は第2世代から第3世代への過渡期にあり、安定するまでに2~5年はかかるだろうと述べた。

次に、BIの将来に関するガートナーの展望に言及し、BIは効率的な実績確認の手段としてはほぼ定着しデータ分析の効率化は期待できるものの、「ビジネス・ユーザーの分析ニーズの先読み」「不足しているデータの自動補完」「利用者の行動を変えること」などは期待すべきでないとし、テクノロジの進化がすべてを解決すべきではないと語った。

そして、本題として堀内が力説したのが、BI環境の改善の進め方だ。1つは、誰に向けたBI環境の改善なのかのチェックの必要性。「経営」「マネジメント」「パワーユーザー」「ビジネス・ユーザー」に分け、それぞれの分析ニーズを把握すべきだとし、ビジネス・ユーザーはツール導入によって恩恵が受けやすいが、経営やマネジメント層はツールのほかに、変化する分析ニーズに応えるビジネス・アナリストが必要だと説いた。
2つ目は、BI環境のバイモーダル化。標準的な分析のモード1だけでなく、自由に分析ができるモード2の両輪を推奨した。そして、3つ目が、IT部門とユーザー部門の役割と責任を再定義すること。「IT主導型」と「ユーザー主導型」の役割を明確にし、ユーザー主導型は決してユーザーに丸投げにしないことが肝要だと述べた。

 

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