アプリケーション戦略をネクスト・ステージへ
〜ビジネスの変革と成長を牽引せよ〜

2019年3月12日(火)~13日(水)の2日間、東京コンファレンスセンター・品川にて、『アプリケーション戦略をネクスト・ステージへ 〜ビジネスの変革と成長を牽引せよ〜』をテーマに、エンタプライズ・アプリケーション戦略&アプリケーション・アーキテクチャ サミットが開催された。

「デジタル・ビジネス」「デジタル・トランス・フォーメーション」は学ぶステージから実践するステージへ突入し、新ステージでは企業は存続・成長するために、従来と次元の異なるビジネス変革を実現する必要がある。

同時に、ガートナーが提唱してきた、ITシステム、モノ、顧客、エコシステムのつながりと、それらの間を流れるインテリジェンスからなる「デジタル・ビジネス・テクノロジ・プラットフォーム(DBTP)」の重要性が増し、いかに最新のテクノロジを取り込んでDBTPを構築できるかが、ビジネスの変革と成長を牽引するうえで肝要となっている。 DBTP構築を通して企業の変革と成長を実現するためのヒントを与えた、4つの講演を紹介する。

デジタル・トランス・フォーメーションの実現に欠かせない3つのポイント

ガートナー エンタプライズ・アプリケーション戦略 & アプリケーション・アーキテクチャ サミット 2019

デニス・ゴーハン
バイス プレジデント, アナリスト

「必要なのは備えだ。それなくして、デジタル・トランス・フォーメーションの実現はあり得ない──」
オープニング基調講演に登場したのは、バイス プレジデント, アナリストのデニス・ゴーハンである。
テーマは「アプリケーション2023:デジタル世界で変化を推進する」である。

ゴーハンは、エコシステムの進化などの市場の変化、人口構成や行動の変化などによって、アプリケーション・リーダーの仕事は再定義される可能性があるため、万全の備えこそ肝要だとし、デジタル・トランス・フォーメーションの実現には、アプリケーションが2023年には「インテリジェント(知的であること)」「アダプティブ(変化に適応すること)」「組み込み(ビジネスに組み込まれること)」の3つの特徴を持つことが欠かせないと語った。

インテリジェントとは、「あらゆる領域にインテリジェンスが関わる世界」「アプリケーション同士のつながりではなくエコシステムの一環となること」「新しいパターンとアーキテクチャが、拡張性と俊敏性をもたらすこと」から成り、インテリジェントなシステムで人間の能力を拡張して、最大の効果をもたらすこと、マルチエクスペリエンス開発によってインテリジェンスを適用すること 、アジリティ、柔軟性、拡張性を実現するために、イベント駆動型モデルを受け入れることで、それらが可能になると語った。

アダプティブの実現には、「新しいオペレーティング・モデル」「再定義されたスキルと新しいコントリビューター」「組織文化に正面に取り組むこと」が必要であり、なかでも組織文化の変革は最大の障壁で、変革に有効なのは、「どう決めるか」「どう創出するか」「どう連携するか」「どう測定するか」の4つのダイヤルで、この4つをさまざまに組み合わせることで変革が起こせるとした。

ビジネスへの組み込みとは、「市民(エンドユーザー)の活用」「成長へのフォーカス」「破壊の受容」の3つで、特に破壊を通じて、ビジネス・業界・バリューチェーンへの取り組み方を、支援から推進へと転換すべきだと述べ、故意に破壊を起こすモデルを示して、デジタル・トランス・フォーメーションには、自己破壊が欠かせないと強調した。

APIファーストでアジリティを実現せよ

ガートナー エンタプライズ・アプリケーション戦略 & アプリケーション・アーキテクチャ サミット 2019

飯島 公彦
シニア ディレクター, アナリスト

1日目の最後に、「APIファースト:APIで実現するデジタル・トランス・フォーメーション」をテーマに講演を行ったのは、シニア ディレクター, アナリストの飯島 公彦である。

飯島はまず、APIの特性として、多様な対象と接続ができかつ組み立てと変更が容易である点などから、APIファーストは革新的な取り組みに効き、そのために必要なアジリティを実現することになると述べ、APIファーストのアプローチでアジリティをどう実現できるのかについて言及した。

アジリティの欠如は、ポイント・ツー・ポイントで密結合型・独自の個別接続による「アプリケーション間接続の依存性」と、UI、処理フロー、ルール・データの要素が密結合型で一体化した「アプリケーション内部の依存性」が原因であると指摘。この依存性を、内部実装を気にしなくてもよいWebベースのAPIとAPI間の依存性を吸収するAPI仲介層を導入することで有効に低減できる。この時、ビジネス上の意味のあるアジリティの向上を図るには、その上で、APIファーストのアプローチが必要である。 

APIファーストは、「利用者ファースト」で、使ってもらえるAPIとはどのようなものかを考え、「プロダクトファースト」で、使ってもらえるAPIであり続けるための管理を行い、「API仕様ファースト」で、APIを利用する側と提供する側の両方で、一貫性のあるAPIを、すばやく構築すること、が重要な要素である。
APIに関する決めごとを最初に明確化すること、APIで接続対象(間)の実装を気にしないこと、API仲介層でAPI間の依存性を吸収することなどで、アジリティが向上すると語った。

次に、APIの利用状況に触れ、APIエコノミーへの取り組みはまだ少数派だが、その実現で重要な要素として、企業外と接続する上で必須となるAPIセキュリティに加え、ビジネスモデルと既存アプリケーションやデータのAPI化があり、適用したい領域として、顧客エクスペリエンス領域とビジネス・オペレーションの両方に集中している焦点があたっている現状を述べた。その一方で、APIエコノミー構築に必要な、スキルセットが社内に不足していること、APIを使ったデジタル・ビジネスモデルの構築の知見とAPI関連テクノロジのスキルセットが不足していることを挙げた。

そして最後に、APIファーストでアジリティを実現するポイントとして5つのポイントを指摘。1つはAPIファーストでデジタル・トランス・フォーメーションの具体化を経営陣と集中討議すること。2つ目はAPI仲介層の実現テクノロジを理解すること。3つ目は、APIファーストの適用シナリオを知ること。4つ目は、APIのガバナンスの必要性と効果を知ること。5つ目は、APIでアジリティを実現するためのグランド・デザインを持つこと。さらに2つの重要なポイントを取り上げ、この5つのポイントを念頭に置いて、デジタル・トランスフォーメーションをアジリティをもって実現しようと実行に移そうと語りかけた。

RPAとAIの違いを見極めAI導入を進めよう

ガートナー エンタプライズ・アプリケーション戦略 & アプリケーション・アーキテクチャ サミット 2019

本好 宏次
バイス プレジデント, アナリスト

「基幹業務におけるRPAとAIの活用はこれからが本番だ──」
2日目に登壇したのが、バイス プレジデント, アナリストの本好 宏次だ。テーマは「エンタプライズ・アプリケーション:RPAからAIへ」である。

本好はまず、RPAとAIについて言及。今後2~5年の間はRPAによるビジネスへの貢献度が高いが、5~10年の中長期で見るとAIは革新的なインパクトをもたらすと指摘。RPAとAIについての理解は進んでいるものの、まだまだ誤解されたり、混同されたりしているとし、それぞれ得意とする領域があると述べた。RPAが得意とする領域の一つは構造化データを使ったルール・ベースの処理であり、ここでは手作業を置き換える「完全自動化」となる。一方、一部に人間の判断が入る業務におけるRPA適用は、「部分自動化」と呼ばれる。AIが貢献できるのは、非構造化データの取り扱いを含む業務の自動化や、手作業に限らない広範な業務プロセスにおける意思決定支援などであると語った。

ガートナーが行った世界のCIOへの調査によると、AIの導入を実施済みまたは近い将来に導入を計画している企業の割合は2018年では25%だったのが2019年には37%へと急伸しており、急速にAI導入が進んでいることを紹介した。海外では意思決定支援/レコメンデーションとプロセス自動化に注力している企業が多いが、日本ではチャットボットが主要なユースケースとなっており、今後は業務アプリケーションの中でAIを使うことで、用途を広げていく余地があると述べた。

続いて、近年は、代表的なエンタプライズ・アプリケーションであるERPにおいてもRPAやAIの活用が試みられていることに触れ、RPAについては、ベンダーやそのパートナーがRPA機能やツールを提供するようになっており、現在の主なRPAの適応領域は、ERPへのデータ入力、ERPからの出力データの集計・加工など、手作業で行われている周辺業務の自動化にあるとした。RPAは短期的に目に見える成果を得やすい一方で、ERP本体の刷新を遅らせてしまうリスクもはらんでいると注意を促した。AIについては、ERPベンダーによる機能への組み込みが進むという見込みを示し、アプリケーション・リーダーとして、意思決定支援、プロセス改善、ユーザー・エクスペリエンスという3つの観点からAIのメリットを見極めるべきだと提言した。

「きっかけ」は自ら動くことで生まれる

ガートナー エンタプライズ・アプリケーション戦略 & アプリケーション・アーキテクチャ サミット 2019

片山 治利
シニア ディレクター, アナリスト

クロージング基調講演には、シニア ディレクター, アナリストの片山 治利が、「アプリケーション戦略をネクスト・ステージへ:ビジネス変革と成長を牽引せよ」をテーマに講演を行った。
片山は本サミットを一通り振り返ったあと、ビジネス戦略をつくり、アプリケーションの総力を結集することによって、デジタル・ビジネス・テクノロジ・プラットフォーム(DBTP)を構築することが重要だと語った。

しかし、デジタル・ビジネスに取り組んでいるのは1,000人以上の従業員がいる大企業でも35%しかない現状を指摘。アプリケーション戦略のネクスト・ステージの方向性は、テクノロジ(既存、新規)、ビジネス(現行、新)のかけ合わせで大きく3つあるとし、DBTPの構築には、「デジタル・ビジネスの設計」「最初のプラットフォームの構築」「障壁に備えて変化に設計を組み込むこと」の3つが重要だと力説。デジタル・ビジネスに取り組み中の企業は、アイデア創出工程を重視すべきだと語った。

デジタル・ビジネスの設計には、標準のデジタル・プロセスをデジタル・マテリアルに合わせて変更するデジタル・デザインの手法が有効で、最初のプラットフォームの構築には、ビジネスモデルとテクノロジ・レイヤをうまく融合することが大事だと述べた。変化を設計に組み込むためには、アイデア創出を他部門任せにしないこと、デジタルデクステリティ(人間系の要素)とデジタルワークプレイス(技術系の要素)を調和させることなどが欠かせないと語った。
イノベーションは一部の限られた人が持つ特別な能力ではない、何もしなければ何も起こらない。自ら「きっかけ」となるべく動いてほしいと力強く呼びかけた。

 

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