Gartner Symposium/ITxpo 2017

開催レポート

デジタル・ビジネスの幻滅期の谷を一気に乗り越えよ

Gartner Symposium/ITxpo 2017

「新たなデジタル・ビジネス モデルをつくることもなく、新たな顧客との関係づくりもしなければ、幻滅期の谷底から這い上がれなくなる──」

2017年10月31日(火)-11月2日(木)の3日間、グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミールにて「ガートナー シンポジウム/ITxpo 2017」が開催された。

デジタル変革は、あらゆるCIOとITリーダーに対し、自社の更なる成長に向けてデジタル・ビジネスのスケールを拡大するよう迫っている。ここでは、初日に行われた「オープニング基調講演」を紹介する。

AI、デジタルセキュリティ、IoTに精通した人材を

Gartner Symposium/ITxpo 2017

オープニング基調講演のテーマは「デジタル価値創造を拡大するために」。
登壇したのは、シニア バイス プレジデントのマイク・ハリス、バイス プレジデント 兼 最上級アナリストの足立 祐子、マネージング バイス プレジデントの山野井 聡の3名である。

まずハリスは、現在デジタル・ビジネスは「過度な期待」のピーク期にあり、これからは「幻滅期」に突入するため、それをどう乗り越えるかが大きなカギになると話し、その方法の1つとして、企業のデジタル化の度合いを測る評価指標(デジタルKPI)に言及。CIOがデジタル・ビジネスの正当性を経営層や事業部門幹部に納得させるには、何らかの可視化された客観尺度が求められると述べた。

次に、デジタル価値のスケールの拡大に触れ、そこに込められた3つの意味、すなわち第1にビジネス効率や効果の最大化、第2に社内リソース間の協創関係の最適化、第3に社外パートナーやエコシステムとの連携の拡張化について解説を行った。その実現のためには、人材の確保・育成に注力することが重要であり、なかでもAI、デジタルセキュリティ、IoTに精通した人材が求められると語った。

最後にハリスは、デジタル価値のスケールの拡大の加速要因として、デジタル・デクステリティ、ネットワーク効果を生むテクノロジ、デジタル・プラットフォームの商用化の3つがあると語り、その3つを実現することで、幻滅期の谷底を、スピード感をもって通り抜けることができると述べた。

「デジタルの使い手」を躍動させる「デジタル・デクステリティ」を実現すべし

Gartner Symposium/ITxpo 2017

「デジタルを成功させる秘訣はアナログ、すなわち人材にある──」
足立はそう語り、若手を教育することも重要ではあるが量産には時間を要するため、今すぐ他の手も打とう、と呼びかけた。

具体的には、全社的に「デジタルの使い手」を増やすことがデジタル戦略の成功のカギだと続け、そのためには、IT部門の外に、デジタル技術に精通し、IT部門とともにデジタル・ビジネスをリードすることができる人材を増やすことが重要だと指摘。

次に、そうした「デジタルの使い手」たち、つまり新しいテクノロジの動きや製品にいつもアンテナを張っていて積極的に取り入れるような人たちが、活き活きと働ける環境を実現することも肝要だとした。

また、足立は、ユーザーに先駆けて、IT部門のメンバーが、世の中にある面白いアプリやプロダクトを使うことが重要であり、そのための実験的な特別区域を作ることも有効であると語った。このような取り組みを通じて、IT部門内にリーダーが立ち上がってきたら、活動をIT部門外にも広げ、全社的な人材不足の克服につなげていくべきだとした。

その取り組みの参考になるものとして、米国の銀行の事例にみられた社員全員のデジタルリテラシーとスキルの向上を挙げ、ワークショップや外部の専門の研修などを通じた教育を推奨。さらに、ユーザーがプライベートで使いこなしているLINEと、ほぼ同じ使い勝手のLINE WORKSを導入したことでユーザー自らが自発的にテクノロジを使い、社内の協業を促す流れが出来た国内のレンタカー会社の事例を紹介し、ユーザーが特別に意識せずとも積極的にテクノロジを使いたくなるような環境の重要性を説いた。

最後に、足立は、「デジタルの使い手」を増やすポイントとして、「テクノロジ」「エンゲージメント」「多様性」の3つを挙げた。テクノロジでは、スマートフォンのアプリのようにユーザーが慣れ親しんでいるものを導入することが重要であるとし、エンゲージメントでは、適切なタイミングで褒められたり認められたりすると人はその行動を習慣化させるという性質を活かした行動科学の手法が有効だと述べた。そして、多様性については、性別、年齢、経験、業種などの枠を取り払い、意識的に組織の多様性を追求し、推進していこうと語りかけた。

デジタル・プラットフォームをビジネスに活かそう

Gartner Symposium/ITxpo 2017

山野井はまず、デジタル価値のスケール拡大の加速要因のひとつ目としてのネットワーク効果について触れた。ネットワーク効果とは、モノやヒトやビジネスが数多くつながるほど、そのネットワーク全体から得られる価値も増大する現象を指し、その実現にはIoT、API、AIの3つの活用が欠かせないと指摘。IoTは比較的早期に価値の創出が期待できるが時間が経つにつれて徐々に頭打ちになっていく。APIは早期の価値獲得は難しくカーブは低空飛行を続けるが、ある一点から爆発的に価値が増大する。AIは典型的なS字カーブを描いて徐々に価値が上昇していくと、それぞれの特徴を解説した。

山野井は続けて、IoTの課題はデータ管理/分析/モデリングのスキルに長けた人材の不足だが、それを乗り越えるためには組織横断的なチームを組むのが現実的とした。また、APIの開発にはアーキテクチャやDevOpsに精通した人材が必要で、例えばレガシー・システムの運用・保守に従事しており、実力も経験もあるのに次の行き場が見えないような人材を発見し、啓発、鼓舞することで新たな「デジタルの使い手」へと変えていける可能性もあると述べた。さらに、AIは人間の能力をスケールさせるテクノロジだが専門技術者は少ないため、社内で広くITとビジネスの経験者を募ってAIプロジェクトに参加させたり、コンサルタント等の社外のリソースの力を活用したりすることも重要だと語った。

次に、デジタル・ビジネスを成立させる技術基盤であるデジタル・プラットフォームに言及。必要なプラットフォームとして、「バック・オフィスとオペレーションをサポートし、既存のビジネスを最適化するための情報システム」「フロントの顧客体験をサポートするカスタマー・エクスペリエンス」「モノとの連携を図るIoT」「APIを通じて社外パートナーと連携するエコシステム」「AIや分析アプリケーションなどを通じてデータ分析や意思決定支援を担当するインテリジェンス」の5つを紹介した。

最後に山野井は、デジタル・プラットフォームをビジネスに活かす3つのポイントとして、まずデジタル・プラットフォームの将来像について大きな絵を描くこと、次にレガシー・システムを近代化してプラットフォームの土台にすること、そして段階的にデジタル・プラットフォームを拡張し、社外のエコシステムとの統合を進めていくことを提言し、講演を締めくくった。

Gartner Symposium/ITxpo 2017
2017年 10月31日(火)〜 11月2日(木)  グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール

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