開催レポート

破壊される前にアクションを起こし、ビジネスを創造せよ

ガートナー ITインフラストラクチャ、オペレーション・マネジメント & データセンター サミット 2018

「何より大事なのはアクションだ。ただ検討しているだけでは、10年後に企業がなくなっている可能性がある──」
2018年4月25日(水)~27日(金)の3日間、東京・港区の八芳園で『ガートナーITインフラストラクチャ、オペレーション・マネジメント&データセンター サミット 2018』が開催された。テーマは「破壊に備えよ」である。

デジタルの流れは全てのビジネスを変容させつつあり、既存のビジネスを「破壊」するディスラプターとしての側面をさらに強めつつある。今、すべての企業は、デジタルの流れを経営マターと捉え、10年後に生き残るための必要な対策を講じることが急務となっている。デジタルのもたらす「破壊」の側面にフォーカスし、ITインフラとオペレーション、イノベーションリーダーへの数々の提言を行った本サミット。
ここでは、4つの講演を紹介する。

膨大なリソースを使って何ができるかを考えよ

ガートナー ITインフラストラクチャ、オペレーション・マネジメント & データセンター サミット 2018

バイス プレジデント
兼 最上級アナリスト
亦賀 忠明

「デジタル時代のリーダーとは何か。我々は、企業と社会に抜本的な変化をもたらす“チェンジリーダー”なのだ──」
サミットのオープニング基調講演に「破壊に備えよ」をテーマに登壇したのは、本サミットのチェアであるバイス プレジデント 兼 最上級アナリストの亦賀 忠明である。

亦賀は、デジタル・ビジネスの重要な側面にディスラプションがあると指摘。テクノロジと人中心の破壊から新たな創造が生まれ、産業とビジネスを根本から変えるインパクトを与えていると語った。その背景にはテクノロジを駆使してビジネス・インパクトを増しているスーパーパワーの存在があり、その代表例としてクラウドのメガ・プレイヤーの実態を紹介。グーグル、Amazonだけでなく、昨今では中国のアリババも、1,000万台級のサーバから構成されるメガ・データセンターを所有し、地球規模にサービスを提供できる。こうしたメガ・データセンターの存在が、昨今のデジタルにリアリティをもたらしていると主張。このようなことが当たり前なものとなっている状況では、サーバーに業務を入れる従来型ではなく、これだけのリソースを駆使して「どんな新しいことができるか」という発想の転換が重要だと説いた。

人中心の破壊と創造の例として、無人コンビニ、デジタル錠剤などさまざまなものを紹介したあとで、アーキテクチャについて言及。AI、クラウドなどをバラバラに考えるのではなく、アーキテクチャの観点からそれらを統合して考えることが肝要だと述べ、新しいビジネス・アーキテクチャとロードマップの策定を求めた。そのためには、無免許の状態から自分で運転するために、「免許」として新しいスキルを獲得しようと呼びかけ、さらに、マインドセットや芸風を変えることも忘れてはいけないと語り、そのための人材投資の継続を訴えた。

ただ、一気にF1レースに出場するのは不可能だとし、3年間で基礎固めをし、その後、ビジネス・アーキテクチャを開始して、10年以内には本格稼働を目指すべきだとした。バイモーダルのモード1は10年後にはなくなる可能性があり、その可能性を前提にシナリオを描いていこうと語りかけた。

デジタル・プラットフォームに最適なクラウド

ガートナー ITインフラストラクチャ、オペレーション・マネジメント & データセンター サミット 2018

バイス プレジデント
ミリンド・ゴーヴァカー

同じ初日に「クラウド・コンピューティングはインフラストラクチャ&オペレーションを構築するのか、それとも破壊するのか」をテーマに講演したのは、バイス プレジデントのミリンド・ゴーヴァカーだ。

ゴーヴァカーは、俊敏さや水平拡張性の高さなどから、デジタル・プラットフォームに最適なのはクラウドだと述べ、2017年時点ですでに80%近い企業が何らかのクラウドサービスを利用し、IT予算に占める割合も20.4%に達している現状を示した。
さらに、クラウドにつきまとう通説について触れ、「クラウドがコスト削減につながること」は間違いだと指摘し、多くの企業が俊敏性を求めてクラウドに投資していると語った。また、法規制のためにクラウドを使用できないという通説も、そもそも当局がクラウドを使っているほどであり、信じてはいけないと語った。

次に、とるべき10のアクションに言及。まず、顧客の要求と必要性を満たすサービスで顧客に力を与えようと語り、そのために、ブローカーになることを推奨。プライベートかパブリックかなど、クラウドについてアドバイスの提供の必要性を説いた。また、アプリケーションとワークロードのレイヤ別の分類を求め、そのうえで、最初は革新システムから進め、差別化システム、記録システムの順でクラウドに移行するべきだと述べた。

さらに、クラウドの契約交渉能力の向上を訴え、クラウドはこれまで慣れ親しんだ契約とは大きく異なる変動制のため、「必要不可欠な条項」「重要な条項」「あればよい条項」と3つに分けて考えるのはコツだと語った。そのほか7つの具体的なアクションを次々と紹介したあと、ガートナーの提言を発表。全社規模のクラウド移行は失敗することが多いため、数年間はハイブリッドクラウドを標準とすることを勧めた。

I&O変革に欠かせない4つの柱

ガートナー ITインフラストラクチャ、オペレーション・マネジメント & データセンター サミット 2018

グループ バイス プレジデント
ジョン・エンク

2日目のガートナー基調講演に登場したのは、グループ バイス プレジデントのジョン・エンクと、バイス プレジデントのミリンド・ゴーヴァカーの2人だ。テーマは「2018年以降のインフラストラクチャ&オペレーションのビジョン」である。

2人は、今は新たなデジタル世界にあるとし、2020年までにデジタルから生まれる顧客価値の割合が46%になること、2020年までのモバイル・デバイス数が74億に達することなどに触れ、これからは従来のテクノロジ思考、サービス思考ではなく、プラットフォーム思考が重要になると語り、I&O変革の柱には、「テクノロジ」「プロセス」「ビジネスモデル」「人材」の4つがあると述べた。

まずテクノロジについて触れ、プラットフォーム思考には、ソフトウェア開発で確立された手法とツール利用をITインフラストラクチャの管理に適用する「プログラム可能なインフラストラクチャ」という新たな概念が必要であり、AI学習とIaaS、PaaS、SaaSを組み合わせ、I&Oの何をどうのように誰が変えるのかを考えようと語った。

2つ目のプロセスでは、I&Oは、価値実現のためにサービス・デリバリを加速しなければいけないとし、顧客エンゲージメントの改善、自動化の検討など、プロセスから価値を最大限引き出すべきだと力説した。
3つ目のビジネスモデルでは、従来のビジネスとの整合性ではなく、ビジネスに組み込まれなければならないとして、レポーターの例を提示。スタジオから戦争をレポートするのではなく、戦場に自ら出向いてどう戦っているのかを見て、それによってオペレーティングモデルを変革する必要性を訴えた。
最後の人材では、批判的思考/問題解決、ビジネス洞察力/知識、コミュニケーション・スキルの重要性を語り、乗客ではなくドライバーになろうと呼びかけた。

ビジネス価値にフォーカスし、成長と変革のために投資せよ

ガートナー ITインフラストラクチャ、オペレーション・マネジメント & データセンター サミット 2018

バイス プレジデント
マイケル・ワーリロウ

3日目に「データセンターのその先へ─I&Oコスト最適化のためのベスト・プラクティス」をテーマに講演したのは、バイス プレジデントのマイケル・ワーリロウだ。
ワーリロウは冒頭で、コスト削減ではなく、コスト最適化のために金銭的な価値をつくることを話したいと語り、自動車が登場したときに、馬車を安くすれば馬車は売れただろうかと問いかけ、コストを下げるだけでなく、価値あるものに投資することこそ肝要だと述べた。

従来のIT予算は運営に3分の1を費やすものだったが、デジタル時代では成長と変革に45%ほどを投資するのが最適化されたIT予算であり、コスト削減だけに注力するのではなく、機能、サービス・レベル、コストをバランスよく調整すべきだと語った。
多くのITリーダーがクラウドでコストを削減できると考えているが、パブリック・クラウドで達成される平均的なコスト削減率は16%であり、それも適切なワークロードではじめて達成できるものであり、そこを間違えると余計なコストがかかる可能性があると指摘した。

コスト最適化のための手段として、コスト・プールからコストを完全に取り除く「排除」、重複や冗長性を完全に除去する「簡素化」、手動で煩雑な手順を排除する「自動化」、ワークロードと活動のばらつきをなくす「標準化」など7つの手段を提示。さらに、同業他社との比較で支出状況をベンチマークする方法、数値目標を設定して資金の流れを追跡する方法などを、具体的な表を見せながら次々と紹介していった。

最後に、I&Oリーダーが投資戦略を向上させる方法について触れ、「本当の悩みの種を特定して解決する」「ビジネスのニーズを予測する」「価値の提供者になる」「木ではなく森の視点から考える」など、ビジネス価値にフォーカスすることの重要性を説き、具体的な行動計画を示して講演を締めくくった。

ガートナー ITインフラストラクチャ、オペレーション・マネジメント & データセンター サミット 2018
破壊に備えよ
2018年4月25日(水)〜 27日(金)  八方園

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