開催レポート

無限の可能性の中にあるチャンスを捉えよ!

ガートナー データ & アナリティクス サミット 2017

「なぜ潤沢なデータとアナリティクスの能力が重要なのか。それは、よい意思決定が必要だからだ──」
2017年5月23日(火)‐24日(水)の2日間、東京コンファレンスセンター・品川にて『ガートナー データ&アナリティクス サミット 2017』が開催された。テーマは「無限の可能性を秘めた時代をリードせよ」である。

我々は今、データやアナリティクスからビジネス価値が生まれる機会が果てしなく広がっている時代に生きている。今日のデータおよびアナリティクス・リーダーには、企業がデジタル・ビジネスの世界へと続く道を進むにあたり、その変革の立役者になるという、これまでにないチャンスが待ち構えている。チャンスを捉えるための行動指針とは何か。その答えがこのサミットで語られた。
ここでは、データ&アナリティクス・リーダーに行動指針を示した3つの講演を紹介する。

重要な意思決定に欠かせないデータ、そしてアナリティクス

ガートナー データ & アナリティクス サミット 2017

「これは欠乏と潤沢の物語です──」
オープニング基調講演に登壇したのは、バイス プレジデント 兼 ガートナー フェローのジェイミー・ポプキンとバイス プレジデントのカート・シュレーゲルだ。
テーマは「無限の可能性を秘めた時代をリードせよ」である。

人類は、不足していた資源を潤沢にしてきたと指摘。アルミはローマ帝国の時代は希少品だったが、19世紀に電気分解法ができたことで、人類は膨大な量のアルミを手にできるようになったと語り、人工光、インターネットなどの例を見ても、安く使いやすくなる技術の発達によってダイナミックな変化が起こると述べた。データ・アナリティクスの世界も、過去20年間のインターネットの世界がそうであったように、複数の技術によって指数関数的な成長曲線を描く可能性があるとした。

ガートナー データ & アナリティクス サミット 2017

そして、データやアナリティクスが重要な理由として、すべての領域で重要な意思決定が必要だからだと語り、例として医療業界を紹介。経験豊かな医師の数が限られるなか、Googleの深層学習技術、機械学習、Amazon Echoなどを組み合わせることで、世界の医療サービスを劇的に向上させる可能性があるとし、あらゆる業界でプロセスや意思決定に適用することで、素晴らしい世界が実現できるはずだと力説した。

そのための第一歩として、チーフ・データ・オフィサー(CDO)の任命を推奨。日本ではまだほとんどいないが、世界にはすでに1,600名以上ものCDOがおり、早急な取り組みを求めた。ディープ・ニュートラル・ネットワークやボット、自然言語処理はまだ難解と思われがちだが、10年前に機械学習をするアプリケーションがなかったことを思い出してほしいと語り、知見に富んだデータに基づく数多くの意思決定を下す世界をつくっていこうと呼びかけた。

リスクと限界に留意し、ディープ・ラーニングに挑戦せよ

ガートナー データ & アナリティクス サミット 2017

「AIにはまだ大きな誤解がある。AIは人間のようにコミュニケーションができるわけでもなく、過度に恐れる必要はない──」
2日目、「人工知能と機械学習における主要なトレンド」をテーマに講演したのは、ガートナー リサーチ バイス プレジデントのアレクサンダー・リンデンだ。

リンデンは、AIはこの5年で大幅に進歩してはいるものの、Andrew Ng氏の「キラー・ロボットの台頭を恐れることは、火星の人口過剰を心配するようなものだ」などの言葉を紹介し、人は自分たちの脳のことさえ完全に理解しておらず、AIは「人工知能」というよりは、「アメイジングイノベーション」と捉えるべきだと述べた。

機械学習のコアは、入力/出力のペアから得られる情報をマッピングして、パターンを作成することだとした。機械学習を応用したソリューションには、どれくらい購入されるかを見る需要予測、故障予測、病気になる確率を見る医療診断などがあり、投げかける質問が正しいことと、学習対象のデータが適切であることの2つがポイントだと語った。

ディープ・ラーニングとは、データの中間層を作成することによって機械学習を改善しようとする試みで、顔認識で使われている例を提示。データの特徴を機械が学習することで、絵をゴッホ風にしたり、動画も絵画風にできる例を示した。2019年までにディープ・ラーニングは、需要・不正・故障検知のためにクラス最高のパフォーマンスを提供するとし、ディープ・ラーニングを使うことで誤報発生率を半減させたPayPalの例を紹介した。

しかし、リスクも限界もあると語り、ダーティすぎる、少なすぎる、一貫性がない、偏りがありすぎるなど、不適当なデータが多いと指摘しつつも、組織に必要なスキルが備わっている場合は、ディープ・ラーニングに挑戦すべきだと語りかけた。

データ/アナリティクス・リーダーに必要なこと

ガートナー データ & アナリティクス サミット 2017

クロージング基調講演に登壇したのは、ガートナー リサーチ マネージング バイス プレジデントの堀内 秀明。テーマは「無限の可能性から確かなビジネス価値を引き出すためのリーダーシップ」だ。

堀内は、デジタル・ビジネスは仮想的なデジタルの世界と現実の物理世界が融合されることから生まれる革新的なビジネスであり、たとえばIoTによって、あらゆるモノが遠隔監視・制御できるようになると指摘。AIはすでに医療分野などで使われているものの、今は過度な期待のピーク期にあり、テクノロジに対する誤解によってデジタル・ビジネスの推進がとん挫する可能性があると語った。

デジタル・ビジネスの無限の可能性から確かなビジネス価値を引き出すことを考えるにあたり、堀内はより素朴なデータ活用であるBIプロジェクトの成果に関するリサーチ結果を示した。ここで「期待どおりの成功」「期待以上の成功」を合わせた数字が10%しかないという事実を指摘し、データがあってもビジネス価値につながる行動が起きていない可能性を示唆した。さらに、データ分析の適用分野の2010年と2016年のリサーチ結果を示し、「原因究明」「将来予測」「資源の最適化」でのデータ活用が進んでいないことが、データからビジネス価値を引き出すことを困難なままにしているのではないかと述べた。

データからビジネス価値を引き出すには、ほとんどの場合で人間の介在が不可避だが、処方的アナリティクス(最適化)では、人間の介在が小さいため、最適ルート探索、人員配置、スケジューリングなどの最適化が実用化されている分野での取り組みを行っていない企業は、自社での取り組み可否を検討するべきと語った。

データから価値を引き出すリーダーとしてCDOという役職が注目されており、2021年までに、大企業の75%において、CDOは、IT、業務オペレーション、人事、財務と並ぶミッション・クリティカルな職務になると言及。一方、成功を認められるのは50%になるとし、アナリティクス推進組織の成熟度を徐々に上げ、自社に見合ったCDOおよびCDOオフィスを設置しようと述べ、最後にデータ/アナリティクス・リーダーになるための行動指針を示し、サミットを締めくくった。

ガートナー データ & アナリティクス サミット 2017
無限の可能性を秘めた時代をリードせよ
2017年5月23日(火)・24日(水)  東京コンファレンスセンター・品川

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