開催レポート

信頼できるデータ、頼れるアナリティクスで未来を切り開け

ガートナー データ & アナリティクス サミット 2018

「データは眺めているだけではダメだ。分析しよう。未来をも予測して、それを行動に繋げよう──」 2018年6月14日(水)-15日(木)の2日間、東京コンファレンスセンターで『ガートナー データ & アナリティクス サミット 2018』が開催された。テーマは「データとアナリティクスによるビジネス価値の創造と拡大」だ。

デジタル革命の要として、あらゆる業界でデータとアナリティクスが必須なものとなっている。その有用性を広めるには、組織内での「データを活用する文化」の醸成が欠かせない。すなわち、データとアナリティクスから洞察を獲得し、ビジネス目標、業務の効率化、イノベーションの推進という意識を根付かせる必要があるのだ。信頼できるデータとは、頼れるアナリティクスとは、そして、未来を切り開くには何が必要なのか。数々の講演の中から4つの講演を紹介する。

多様性のある組織はチームのパフォーマンスも高い

ガートナー データ & アナリティクス サミット 2018

バイス プレジデント 兼 最上級アナリスト
テッド・フリードマン

「企業がデータ活用を推進する際に、乗り越えなければならない4つの壁がある──」
オープニング基調講演に、「データとアナリティクスの価値を拡張する」をテーマに講演したのは、バイス プレジデント 兼 最上級アナリストのテッド・フリードマンと、リサーチ ディレクターのカーリー・アイディーンだ。

2人は乗り越えるべき壁として、「データの信頼性の確立」「人、データ、スキルの多様性」「複雑性」「データに対するリテラシーの向上」を4つを挙げた。
フェイクニュースに代表されるように、信頼できないデータが数多く出回るなかで、いかに信頼できるデータを構築するかは、企業にとって大きな課題となっている。そこで2人が推奨したのが検証だ。従来のように、小グループ内で手作業でデータや文書をつくる悪い癖をやめ、代わりにウィキペディアのような仕組みを企業内につくり、社内検証を行っていく方法を推奨。さらに、クラウドソーシングや自動化によってデータ基盤の検証を行うべきだと述べた。

ガートナー データ & アナリティクス サミット 2018

リサーチ ディレクター
カーリー・アイディーン

多様性についてはダイバーシティが欠かせないと力説。高い多様性をもつ上位25%の企業は、財務利益が業界平均よりも33%も高い事実を示し、多様な人材を取り入れた多様性のあるチームのほうがパフォーマンスが高いと指摘。さらに、人種、性別、年齢などはもちろん、内向的だったり自閉症の傾向がある人を雇用するなど採用にバイアスをなくすことで、より多様性のあるチームがつくれると語った。

複雑性を乗り越えるためには、多くの小規模のチームをつくって能力を高め、「さらなるコンテキスト」「さらなる理解」「さらにタイムリーな応答」をもたらす、正確なデータ&アナリティクス・プラットフォームを活用すべきだと述べた。
リテラシーの向上では、小児病院の興味深い事例を紹介。この病院のようにスタッフ全員に訓練することが大事であり、データに関連する共通の言語と文化を創造するといったアクションが欠かせないと語った。

データ管理戦略に沿ったデータの収集と接続をせよ

ガートナー データ & アナリティクス サミット 20188

バイス プレジデント 兼 最上級アナリスト
マーク・ベイヤー

1日目の午後、「データ管理の動向:データの収集と接続のバランスを取る」をテーマに登壇したのは、バイス プレジデント 兼 最上級アナリストのマーク・ベイヤーだ。
ベイヤーはまず、データ管理について、組織が直面している課題として、「量」「速度」「種類」の3つがあり、あらゆる場所に大量のデータが存在し、発生するプロセスも分散しているとした。そして、企業はこの現状を理解したうえで、データを管理しなければならないと語った。

例えば、エッジには100種類ものセンサが取り付けられることもあり、そのデータは膨大だ。かつてはデータを1か所に集める集中型が主流だったが、現在、集中型を採用しているのは15%にとどまっており、分散型にも注目すべきだと述べた。
また、現在のデータ管理イニシアティブの重要度の調査で、トップがアナリティクス、2位がデータ・リスクとコンプライアンスである事実を示し、これらの要求にこたえられるデータ管理が求められているとした。

次に、企業がとるべきデータ戦略管理に触れ、まずすべきことはデータの「収集」と「接続」であり、これはもはや避けて通れないと指摘。だが、ビジネスの目的によって何を接続し、何を収集するかは大きく変わってくるため、組織の戦略に沿ったデータ管理戦略の策定が肝要だと述べた。
データ管理戦略の方法には、「実験」「オプション」「選択」「現状維持」の4つがあり、環境に変化がなければ現状維持もありうるとした。ただ、システムなどに問題が生じた場合は、新たな技術の導入か現状維持かの選択が求められ、技術革新によって分析モデルの刷新など新たな道が登場した場合は、実験が必要となると語った。最後にデータ管理について重要な提言を提示し、講演を終えた。

情報が高い価値を得るためには、欠かせない3つの柱がある

ガートナー データ & アナリティクス サミット 2018

バイス プレジデント 兼 最上級アナリスト
ダグラス・レイニー

「インフォノミクスの適用:『資産としての情報』を収益化、管理、測定する方法」をテーマに講演したのは、バイス プレジデント 兼 最上級アナリストのダグラス・レイニーだ。

レイニーは、アメリカの企業が情報の重要さに気づかされたのは9.11のときだと指摘し、多くの企業が情報を大事にするようになったものの、まだ国際会計基準ではデータは資産としては認めていない現状を語った。
ただ情報は、石油にはない数多くのメリットがあり、唯一無二で代わりがないこと、尽きることがないこと、保管や輸送にかかるコストが石油より安いこと、環境にやさしいことなどを挙げた。一方で、まき散らしたらふき取ってきれいにするわけにはいかない難しさもあると語った。

レイニーは、最高データ責任者がいるなど情報に精通している企業は、平均的な企業よりも、市場価値と財務価値の値が2倍あり、情報を収益化している場合は3倍にも達している事実を示した。そして、このように高い価値を得るには、「情報の収益化」「情報の管理」「情報の測定」の3つの柱が必要だと力説した。

まず、資産としての情報の収益化に触れ、今もっている情報からメリットを創出して利益に変えるためには、データを使った効率化、新製品や新市場の開発などの間接的な収益化のほか、情報の交換・取引などの直接的な収益化などの必要性を強調。具体的なものとして、検索エンジンを改善して顧客の要望を的確に取り入れて、途中で買い物をやめてしまう例を大きく減らしたスーパーなど、数々の事例を紹介した。

情報の管理の重要性も説き、ある企業を訪問したところ、在庫品だけでなく、トイレの便器にもナンバリングをするなど徹底的に資産を管理している会社ですら、情報の管理はまったくなされてない例を挙げ、従来の資産管理プラクティスを情報管理に流用しようと呼びかけた。
情報の管理は、ガートナーの情報評価モデルを紹介。大きく「基盤となる測定基準」と「財務的な測定基準」の2つがあり、それぞれ3つの基準、計6通りの組み合わせによって評価できることを示した。

データサイエンティストに大事なのはアナログの力だ

ガートナー データ & アナリティクス サミット 2018

主席アナリスト
一志 達也

「目を覚まして意識を変えよう──」
そう力強く語りかけたのは、2日目の最後に登壇した、本サミットのチェアである主席アナリスト、一志 達也だ。テーマは「データ活用で成功を収める企業は何が違うのか」である。

一志は、ガートナーの調査結果を示し、データからビジネスに十分な成果を得られている企業が、わずか19.8%しかない現状を指摘。また、データ利活用の専任組織や専任担当者を設置している企業も、「必要だが設置していない」「必要性を感じていない」の合計が約70%にも達することに触れ、成功している企業は「どうなりたいか」という明確なビジョンをもっており、今こそ意識変革を行おうと語りかけた。

一志は、まずデータ活用の全体像を正しい言葉で整理すべきだとし、整理の方法としてデータの分析には4種類あることを示した。1つは「何が起きたのか」という現状把握を行う記述的。2つ目が、「なぜ起きたのか」を知る診断的。3つ目が「何が起きるか」の予測的。4つ目が「何をすべきか」の処方的だ。前者2つはBIが使われるが、後者2つはAIが使われる。現状把握と予測では、用いる技術も人も違うことをまず理解すべきだとした。ただし重要なのは、基盤構築やデータ集約よりも、誰が何をどう分析するのかとうビジネス課題を先に決めることであり、決していきなり予算をつけてモノを買うことを始めないほうがいいと提案した。

次に、基盤以外に必要なことについて言及。基盤だけ整えてもデータ活用はできないと語り、データ活用に適した人材を求めた。しかし、データサイエンティストといっても、決して数学のスペシャリストである必要はなく、ビジネス課題を見つけたり、人材の発掘・育成、さらには想像力やアイデアが出せる人材など、むしろアナログの力こそ、データサイエンティストに求められると強調した。
最後に、データ活用で成功を収める企業になるために欠かせないガートナーの提言を示し、講演を締めくくった。

ガートナー データ & アナリティクス サミット 2018
データとアナリティクスによるビジネス価値の創造と拡大
2018年6月14日(木)- 15日(金)  東京コンファレンスセンター・品川

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