開催レポート

感動、思い出は真似できない。道なき道を歩み独自性を創出せよ

ガートナー カスタマー・エクスペリエンス サミット 2018

2018年 2月19日(月)‐20日(火)の2日間、東京コンファレンスセンター・品川にて「ガートナー カスタマー・エクスペリエンス サミット 2018」が開催された。テーマは「カスタマー・エクスペリエンスは新たな戦いの場である−現実世界で勝ち抜く極意」だ。

今、カスタマー・エクスペリエンスは、複数のコンタクト・チャネル、データ・ソースおよびテクノロジを組み合わせた、これまでにない新たな戦略の策定が重要視されている。2018年は実世界のB2BおよびB2Cのデジタル・ビジネスに取り入れ実践していく段階を迎えている。顧客満足度、ロイヤリティ、アドボカシの改善を通じた将来のビジネスの成長に結びつく、4つの講演を紹介する。

1つは必ず取り入れることになる「10の展望」

ガートナー カスタマー・エクスペリエンス サミット 2018

マネージング バイス プレジデント
ジーン・アルバレス

「多くの企業が、これから紹介する10の展望のうち必ずどれかを取り入れることになる──」
初日のオープニング基調講演に登壇したのは、マネージング バイス プレジデントのジーン・アルバレス。テーマは「顧客戦略を策定する際に知っておくべきテクノロジ展望トップ10」だ。

展望1は「2022年までに、あらゆるカスタマー・エクスペリエンス・プロジェクトの3分の2がITを活用する」だ。2017年の50%からさらに上昇するとし、2017年にカスタマー・エクスペリエンス・テクノロジへの投資が増大すると予測している企業は84%にも達し、41%の企業が顧客分析に投資を増やすとしている現状を紹介した。

展望2は「2020年までに、全B2B企業の30%が、主要な営業プロセスの少なくとも1つを強化するためにAIを採用すること」。無料アプリをダウンロードした場合のフルバージョンへのお勧めをするなどの自動メール、営業技術を上げるセールス・コーチング、虫の画像を送るだけで駆除方法を教えたりするフィールド・サービスなどを示した。

展望3は「2020年末までに、顧客への共感力を高められるようにCRMテクノロジを導入する企業は、破壊的なデジタル企業の影響を回避できる可能性が3倍高くなる」こと。テクノロジ/プロセスへの投資を共感力に集中させ、顧客中心の企業になるべきだと提言した。

展望4は「2020年までに、顧客サービス/サポート業務の25%では、エンゲージメント・
チャネル全体でVCAテクノロジを統合する」である。2015年は10%なため、さらに急成長が見込まれ、VCAを導入した企業は、電話やメールでの問い合わせが大きく減る一方で、顧客満足度も高まっていることを指摘し、優れたVCAはカスタマー・エクスペリエンスの質を大きく高めるため、VCAテクノロジ・エクスペリエンスをもつ言語/機械学習スペシャリストの人材確保戦略を開始しようと呼びかけた。
さらに、その後もカスタマー・エクスペリエンスを進めるにあたって知っておくべき6つの展望を次々と紹介して講演を終えた。

6つの顧客分析のうち自社に合ったものを導入せよ

ガートナー カスタマー・エクスペリエンス サミット 2018

リサーチ ディレクター
ガレス・ハーシェル

2日目の午前に「顧客分析の6つのスタイル」をテーマに登場したのは、リサーチ ディレクターのガレス・ハーシェルだ。ハーシェルは、顧客分析の6つの分析方法とその事例を紹介していった。

1つ目が「行動の変化」。携帯電話会社が、顧客が高速鉄道で移動していることを携帯電話の情報から把握し、それを元に、国際ローミングの商品のセールスをかけている事例を紹介。行動の変化を知ることでよりカスタマイズされたセールスができると説いた。
2つ目は「マスカスタマイズ」。コカ・コーラ社のフリースタイルという自販機を紹介し、アプリ上で自分の好みのフレーバーを入力すると、その自販機で自分用にカスタマイズされたコカ・コーラが飲める事例、さらに、柄をスマートフォンなどで撮影し、それをメーカーに送ることでカスタムシューズができる例を示した。

3つ目は「インサイトの共有」。フライトが遅れることで有名だったある航空会社が、どれくらい遅れるのかを顧客に知らせるサービスによって信頼を得ていること、さらに、バスケットボールにセンサを取り付けて、選手とコーチがボールデータからテクニックの情報を共有して改善を図る例を紹介し、データ共有の重要性を指摘した。
4つ目は「問題なくスムーズに」。ある回転寿司の店が画像認識によって、顧客が何をどれくらい食べているのかを把握し、つくるべき商品を自動的に導き出して需要と供給を合致させている例を紹介した。

5つ目は「人が違いを生み出す」。オンラインで靴を販売している会社が、顧客がほしい靴を探すのに10時間以上も電話で費やし、そのストーリーが会社の価値を上げた例を示し、評価指標を鵜呑みにせず、正しいことをすることの重要性を考えようと語りかけた。
さらに6つ目の分析方法も紹介し、「6つのなかで自社の文化と一致させることが重要だ」と語った。

B2Bプロセスでも欠かせない「真実の瞬間」

ガートナー カスタマー・エクスペリエンス サミット 2018

リサーチ ディレクター
タッド・トラヴィス

「『真実の瞬間』を使ってカスタマー・エクスペリエンスを強化しよう」と呼びかけたのは、「最高のB2Bカスタマー・エクスペリエンス・プログラムを構築するには」をテーマに登壇した、リサーチ ディレクターのタッド・トラヴィスだ。

トラヴィスは「真実の瞬間」を、「人やモノが試されるとき、意思決定を下さなくてはならないとき、または危機に直面したとき」と定義。真実の瞬間がB2Bプロセスで重要な理由として、B2Bの顧客は、自社を覚えてくれる、パーソナライズされたシームレスなインタラクション、適切なレコメンデーション、自社の優先順位が基準であることなど、多くの期待を抱いているからだと指摘。営業は週の34%がB2Bの顧客との打ち合わせに費やされているなど、あらゆるインタラクションが真実の瞬間になる可能性があると述べた。

B2Bプロセスにおいて真実の瞬間を見極めるには、顧客応対のプロセスの現状の説明や、エピソード、CRMデータ、顧客アンケート調査から問題点を集めること、さらに顧客のライフサイクルをモデル化して、顧客がどのように購入しているかを理解することが大事だと指摘。真実の瞬間を分類して優先順位をつけることを推奨した。

真実の瞬間をB2Bプロセスに適用する方法として、一貫性のあるエクスペリエンスの実現や一元化された顧客ビューなど、改善点を策定することをあげ、さらに、ブランドの確立、対話の開始などの顧客の期待事項の設定を取り上げた。カスタマー・エクスペリエンスに終わりはないため、確かな戦略、戦術をもち、継続して改善することが肝要だと述べた。
最後に、非常に興味深い具体的な事例を2つ紹介し、ガートナーの提言を発表して締めくくった。

「提供」から「変化の実現」にシフトせよ

ガートナー カスタマー・エクスペリエンス サミット 2018

リサーチ ディレクター
川辺 謙介

クロージング基調講演に登場したのは、リサーチ ディレクターの川辺 謙介。テーマは「独自のカスタマー・エクスペリエンスを自ら推進せよ」だ。
川辺は今サミットで取り上げられたテーマをおさらいする形で次々と紹介したあと、「これからが本題」と語り、「カスタマー・エクスペリエンスのリーダーは何をすべきなのか」と問いかけた。

日本企業に向けて行った最新の調査結果を示しながら、カスタマー・エクスペリエンスを進めているチームの6割近くに役員やリーダーがいないことを指摘。さらに『経験経済』という本を取り上げ、「顧客は自ら変わりたがっている。その変革を手伝うのが究極のビジネスであり、カスタマー・エクスペリエンス時代は変革を推進することが最重要ミッションだ」と力説した。

企業の多くは顧客分析に力を入れて顧客が何を求めているかを探っているが、顧客を理解するだけでは不十分だとし、フォーカスを従来の「提供」から「変化の実現」にシフトすべきだと提言。カスタマー・エクスペリエンスのテクノロジの提供のために、特にCIOとの関係構築を重視することが大事だと説いた。
新機能は他社に追随されるが、感動や思い出は真似されない。失敗を繰り返しながらも、誰も通ったことがない道を歩むことで、競争力のある自社独自のカスタマー・エクスペリエンスが提供できるようになると語った。

ガートナー カスタマー・エクスペリエンス サミット 2018
カスタマー・エクスペリエンスは新たな戦いの場である − 現実世界で勝ち抜く極意
2018年2月19日(月)- 20日(火)  東京コンファレンスセンター・品川

協賛企業   [PDFアイコンをクリックするとプレゼンテーション資料をダウンロードいただけます。]

日本マイクロソフト株式会社  
富士通株式会社 PDF
CRITEO株式会社  
ティーリアムジャパン株式会社 PDF
バルコ株式会社