開催レポート

見逃すな、企業が変革する決定的瞬間

ガートナー カスタマー 360 サミット 2017

2017年2月21日(火)・22日(水)、東京コンファレンスセンター・有明にて『ガートナーカスタマー 360 サミット 2017』が開催された。テーマは『インサイト、エクスペリエンス、成長‐その「決定的瞬間」をとらえよ』である。

我々は生涯、また企業活動や顧客とのインタラクションにおいて、現状を一変させるような変革、リスク、機会をもたらす「決定的な瞬間」に巡り合う。このような瞬間が訪れる頻度は、昨今のデジタルによる変革によって高まっており、もたらされる影響は計り知れない。

本サミットでは、新たなインサイトを醸成し、カスタマー・エクスペリエンスを変革することで、ビジネスの成長を支援できるよう、さまざまな「決定的な瞬間」を検証し提示した。ここではそのうち、4つの講演を紹介する。

注目すべきは新規テクノロジ

ガートナー カスタマー 360 サミット 2017

「決定的瞬間はめったに発生するものではないが、間違いなく重要な意味があり、増幅効果がある──」
オープニング基調講演で登壇したのは、バイス プレジデント 兼 最上級アナリストのエド・トンプソンだ。テーマは『顧客戦略を形作る「決定的瞬間」を捉えよ』である。

トンプソンは決定的瞬間の3つの特徴を冒頭のように語り、スカンジナビア航空をわずか1年で再建させたヤン・カールソンの著書『真実の瞬間』を紹介。顧客フロントの従業員が顧客に接する15秒が、最終的に企業の成功を左右すると語った。

ガートナーの調査を示し、企業は「新CEO就任」「新製品開発」「新規チャネル開拓」「新規顧客獲得」「新規テクノロジ」「新規競合の出現」が決定的瞬間になっているとしながらも、グローバル企業でのCEO在任期間の中央値は4.9年でしかないため、CEOは決定的瞬間になりにくく、タクシー業界を一変させた「Uber」のような新規競合の登場も極めて稀だと指摘した。
そして、2016年に実施したCEOサーベイから、テクノロジへの投資が最も多い事実を示し、新規テクノロジが決定的瞬間を引き起こす可能性が最も高い強調。小売業界でのバーコード、銀行業界のATM、音楽業界でのiPodの登場などを例に挙げた。

最後に行動計画として、カスタマー・ジャーニー・マッピングを実行の際は、「真実の瞬間」の先に目を向け、顧客の人生やビジネスにおいて起こる決定的瞬間にフォーカスすること、さらに2つの重要な計画について述べ、講演を終えた。

達成すべき当たり前のことに目を向けよ

ガートナー カスタマー 360 サミット 2017

同じ日の夕刻、同じくエド・トンプソンが「差別化を図るデジタル・カスタマー・エクスペリエンスへのロードマップ」をテーマに講演をした。

トンプソンは、ガートナーによるカスタマー・エクスペリエンス管理(CEM) の定義として、「顧客の期待を満たし、さらに顧客の期待を超えることで顧客満足度、顧客ロイヤリティ、顧客アドボカシを高めることを目的とした、顧客とのインタラクションの設計/対応のためのプラクティス」を紹介し、さっそく差別化のための10から成るロードマップを示した。

まず、準備として「チームおよびガバナンスの構築」「既存のプロジェクトとケイパビリティの監査」「顧客の声を集める」「測定対象の指標を決める」「カスタマー・ジャーニーをマッピングする」の5つを提示。
測定対象の指標を決める際は、従業員のエンゲージメントを調べることも重要だと力説。その理由として、従業員の満足度が顧客満足度に大きく関係しており、トップ企業であるほど調べている事実を明らかにした。

実行としては、「緊急性の高い課題の解決」「目標値について合意を得る」「ベスト・プラクティスからアイデアを拝借する」「多数を動機付ける」「代表者を派遣する」の5つを紹介。緊急性の高い課題の解決では「狩野モデル」を示し、高付加価値の機能ばかりに力を注いで、最低限満たすべきことを満たしていない企業が多いと指摘。自動車のブレーキを修理して使えるようにしても顧客の満足感は得られないように、まずは当たり前のことを適切に対応し、その上で高付加価値の機能を追い求めるべきだと述べた。

もしかして時代遅れな日本の商習慣

ガートナー カスタマー 360 サミット 2017

2日目には「ここがおかしい、日本企業のアプローチ」をテーマに、リサーチ ディレクターの川辺 謙介が進行役となり、前出のエド・トンプソン、バイス プレジデント 兼 最上級アナリストのマイケル・マオズ、マネージング バイス プレジデントのジーン・アルバレスの3人が答えるというスタイルで行われた。

トンプソンは日本の現状を、「ある分野では5年先を行っているがある分野では5年遅れてる」と指摘。自動販売機やロボットは先進的だが、現金決済が多いことや、紙ベースでペーパレス化していない点はイギリスとは違うと述べた。

ガートナー カスタマー 360 サミット 2017

川辺は、日本ではCMOを置いている企業が5社に1社しかいない現状を紹介し、日本のマーケティングの現状に意見を求めた。マオズは、アメリカの大企業にはCMOは必ずいると語ると、アルバレスは、ペプシコのようなブランド企業には必ずいるが、ユーティリティ系企業には少ないと、業界によって違うという認識を披露した。

川辺は調査結果を公表し、マーケティング組織の部門長にふさわしい人材として、日本の企業は3分の1が広告代理店などのマーケティングのスペシャリストを挙げていることを取り上げ、社内にマーケティングに詳しい人材がないことを示しているのではないかと述べた。

ガートナー カスタマー 360 サミット 2017

日本の商習慣である名刺交換についても言及し、アルバレスは、「欧米ではLinkdInの普及によって名刺はもたなくなっている」と述べ、「重要なのは名刺をもっていることではなく、会った人が誰と、どんな情報とつながっているのかを知り、それを活用することだ」と語った。

付箋を貼ることからカスタマー・ジャーニーが始まる

ガートナー カスタマー 360 サミット 2017

「お客様のジャーニーを理解し、どんな体験をしているのかを理解すれば、大変素晴らしい関係をお客様と構築することができる──」
「カスタマー・ジャーニー・アナリティクスを極める方法」をテーマに講演したのは、リサーチ ディレクターのガレス・ハーシェルだ。

ハーシェルは、イベントに対応することは重要だが、知られたくないようなことまで知られることは、受け取り側に不気味さを与え、やり方によってはマイナスになると指摘。解決方法として、顧客がほしくない情報と一緒に紛らわせることで不気味さを与えずに済むと解説した。

そして、すべてのカスタマー・ジャーニーは、壁に付箋を貼るところから始まると力説。あらゆる部署が一堂に会し、データを管理・統合し、顧客の観点から分析する必要性を説いた。しかし、分析で終わってしまい行動に移さないことが一番の失敗だとし、スタートすべきデータとして、ウェブサイトとコンタクトセンターを挙げた。

顧客認知は最初は「未知」から始まり、「匿名」「本人特定」と変化していくが、最終的には顧客自らが名乗る「自己特定」にもっていくことで、顧客と理想的な関係が構築できるようになると述べ、最後に3つのガートナーの提言を示し、締めくくった。

ガートナー カスタマー 360 サミット 2017
インサイト、エクスペリエンス、成長 − その「決定的瞬間」をとらえよ
2017年2月21日(火)・22日(水)  東京コンファレンスセンター・有明

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