開催レポート

アプリケーション戦略を進化させ、 デジタル・イノベーションをリードせよ

ガートナー エンタプライズ・アプリケーション戦略 & アプリケーション・アーキテクチャ サミット 2017

2017年3月16(木)と17日(金)の2日間、「ガートナー エンタプライズ・アプリケーション戦略 & アプリケーション・アーキテクチャ サミット 2017」が東京コンファレンスセンター・品川で開催された。テーマは「アプリケーション戦略を進化させ、デジタル・イノベーションをリードせよ」である。

現在日本では、デジタル・ビジネスに積極的に取り組んでいる企業が存在すると同時に、デジタル・ビジネスへの取り組みが遅れている企業も多く存在する。本サミットでは、「アプリケーション戦略」と「アプリケーション・アーキテクチャ」を柱に据えて、ガートナーの国内外のトップ・アナリストが最新の調査結果や事例をもとに知見を提供する。

ここでは、デジタル・ビジネス実践のために何をなすべきかについて有益なヒントを得ることができる、4つの講演を紹介する。

価値を生み出す「つながりの経済」

ガートナー エンタプライズ・アプリケーション戦略 & アプリケーション・アーキテクチャ サミット 2017

初日のオープニング基調講演に登壇したのは、バイス プレジデントのデニス・ゴーハンだ。テーマは「『つながりの経済』がデジタル・ビジネスの価値を生み出す」である。 ゴーハンは、200億個の物理的なモノがインターネットにつながるようになると、新しい経済が登場し、ビジネスにおける投資方法を変えると指摘。こうしたつながりの密度が生み出す新市場をどのように開拓するかが問題だと語り、新市場の例として「ポケモンGO」を紹介した。

つながりの経済とは、ビジネス、人、モノの間のインタラクション密度から需要が増加することで価値が生み出されることで、その構成要素は「経済主体」「先行指標」「エコシステム共有」「ビジネス・モーメント」の4つだと述べた。経済主体とはエコシステムの参加者で、先行指標とは将来を予見する指標のことで、従来の売上げや利益だけではなく、見込客のほか、景気動向の目安となるバルチック海運指標を見ることの重要性を力説。エコシステムの共有では、エコシステムを有する企業同士が連携することで、より高い次元の顧客体験を提供できると説いた。

ガートナーの提言として「自社のビジネス・エコシステム・モデルの開発」「デジタル・ビジネス戦略を遂行するための先行的なデジタル指標を見極める」など5つを示し、「膨大な数の新市場に達するための道筋として、つながりの経済を活用しよう」と呼びかけた。

IT部門は「市民」(ビジネス部門)によるイノベーションのアクセル役

ガートナー エンタプライズ・アプリケーション戦略 & アプリケーション・アーキテクチャ サミット 2017

「自社の将来を考えるならば、ビジネス部門とIT部門は連携すべきだ。そして、最終的にお客様に価値を提供すること。その重要性がこれまで以上に高まっている──」 2日目に「2020年のソフトウェア・シナリオ」をテーマに講演したのは、オープニング基調講演を同じくデニス・ゴーハンだ。

ゴーハンは、ソフトウェア開発の方法がこの3年間でどのように変わっていくのかと問い、論点として「対象」「主体」「方法」の3つを挙げた。 まず対象として、デザインに言及し、ビジネス要件をすべてアプリケーションの中に取り入れると複雑なものになることから、ユーザーがどんな問題を解決したいのかを考えた上で開発することを推奨。今後重要になるテクノロジとしてブロックチェーン技術を取り上げ、破壊的な力をもたらす可能性があると述べた。

次に主体に話を移し、今起こっているイノベーションとしてシャドーITがあるとし、「シャドーIT」と呼ぶのではなく、「市民(ビジネス部門)によるイノベーション」と受け止めるべきだと語り、ここからいいアイデアが次々と出ており、このイノベーションのブレーキ役になるのではなく、アクセルを踏んで育んでいくのがIT部門の果たすべき役割だと強調した。

最後に方法について述べ、従来のプロジェクト中心の縦割りの分断型の組織ではなく、アプリケーション、情報統合、インフラ担当などを「専任の製品チーム」としてまとめることの重要性を説いた。

実現したいメリットを明確にしてaPaaS選択を

ガートナー エンタプライズ・アプリケーション戦略 & アプリケーション・アーキテクチャ サミット 2017

2日目午後には「クラウド・ファースト時代のアプリケーション・プラットフォーム:選択する上での留意事項」のテーマで、リサーチ ディレクターの飯島公彦が登壇した。

日本企業でのクラウド利用が当たり前になりつつあり、システム・リソースやレンタル・アプリケーションのクラウドから、アプリケーション・プラットフォームとしてのクラウドへのシフトが加速しているが、飯島は、クラウドをアプリケーション・プラットフォームとして選択する場合の留意事項について言及した。

セッションの主題として「aPaaS」を取り上げ、aPaaSには6つのメリットがあると指摘。それはノンコア作業を割愛する「捨てる」、生産性などが「上がる」、最新サービスが使える「使う」、高可用性と拡張性の「頼れる」、常に進化するプラットフォームの「変わる」、コストなどの「管理」だと指摘。しかし、この6つのメリットを100%満たすサービスは今のところ存在せず、優先順位を明確にした上で、次の7つの切り口であてはめることが重要だと語った。

その1つはインフラを自分たちで管理するのか否か、2つ目は、開発者のプロフィールの問題、3つ目が高制御性か高生産性か、4つ目がクラウド性、5つ目がアーキテクチャ要件、6つ目が機能性、7つ目に経済面の目標をあげた。
飯島はその7つの留意点を詳細に説明し、aPaaSを選択する際、実現したいメリットを明確にし、そのメリットを7つの切り口から吟味して適切なaPaaSを選択すること、さらに、アプリケーションの特性に応じて、複数のaPaaSを選定する必要性を認識すべきだと述べた。

デジタル・ビジネス推進に欠かせない3つのアクション

ガートナー エンタプライズ・アプリケーション戦略 & アプリケーション・アーキテクチャ サミット 2017

本サミットの最後のクロージング基調講演に登場したのは、リサーチ ディレクターの片山治利だ。テーマは「アプリケーション戦略を進化させ、デジタル・イノベーションをリードせよ! 実践するのは貴方だ!」である。
片山は2日間にわたったサミットを一通り振り返ったあと、デジタル・ビジネスに立ち向かって行くために3つのアクションを起こしてほしいと、次の3つを語った。

1つは、IT部門に期待されている役割の実行。ガートナーの調査によると、IT部門はテクノロジ評価に50%あまりも期待されていると指摘し、この部分を的確に評価できないとIT部門の存在意義が薄らいでしまうと危機感を示した。さらに、アイデアの創出、プロジェクトの発案でも20%ほども期待されていることから、ビジネス部門と連携して新たなプロジェクトを起こすことを強く勧めた。

2つ目が人材育成。将来デジタル・ビジネスの推進リーダーになれる人材、高度な専門性をもつ人材、開発・運用ができる人材の3つに分けて取り組むべきだと指摘し、人材育成の役割は人事部門だけでなく、IT部門こそが主体的になって行うべきと進言した。

3つ目は、目下のアプリケーション開発の課題の早期解決。バグなどの障害やコストなど従来からある問題の原因を早期に把握して解決し、デジタル・ビジネスという新ステージにすぐに行けるようするべきだと述べ、「行動を起こそう」と会場に語りかけた。

ガートナー エンタプライズ・アプリケーション戦略 & アプリケーション・アーキテクチャ サミット 2017
アプリケーション戦略を進化させ、デジタル・イノベーションをリードせよ
2017年3月16日(木)・17日(金)  東京コンファレンスセンター・品川

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